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今年のセンター試験世界史、雑感

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     【概略】
     2006年までは世界史AとBとの共通問題が存在したが、2007年以降はなくなっている。この点は今年も踏襲された。以前はよく出題されていた、グラフや表の数値を読み取る問題はA・Bともに出題されていない(最近のグラフ問題は、時代を問うことに使われることが多く、あまり意味のないことだという批判があったせいかもしれない。)。A・Bともに、「何が」「誰が」という問いだけでなく、「いつか」という問いが目立つようになってきている。

    【世界史A】
     昨年出題されなかった地図問題(それも3問)、問い方が難しい問題がみられたこと、前近代の問題が占める割合が増えたことなど、今年度は難化したと思われる。

    【世界史B】
     文化史の占める割合が増加しているが、いずれも過去に出題されたことがある事項ばかりで(インターネットの普及時期は初めての出題だが)、正解を導くのは容易である。

    【総括】
     センター試験もそろそろネタ切れとなってきたようだ。英語や国語では出典文を再利用する方針が決定しているが、世界史の場合、「言い回しは異なっても内容は同じ」という選択肢がよくみられる。これは致し方ないことであろう。高校では、「過去問演習」が最良の受験指導ということになる。
     ただ、リード文・設問ともに魅力的なものが近年減っているのは事実である。2006年の世界史B(本試)での”『千夜一夜物語』の翻訳はヨーロッパと中東の文化接触”というリード文や、2001年の世界史A(追試)での「カートライトによる力織機、ジョン=ケイによる飛び梭(飛び杼)、ハーグリーヴズによるジェニー紡績機」の発明の順番を問うような問題は、もう期待できないのであろうか?
     センター試験の問題は、東大の入試問題と同じく、入試問題の指標だと思う。個性的な設問の出題はこれから難しいと思うが、リード文はわれわれを唸らせる、刮目させるようなものを期待したい。

    (熊本北高校 平井英徳)

    コメント
    毎年のセンター試験を生徒に解けるように教えていて思うことです。リード文が面白い設問を、と思うのは平井さんと同じです。ただ、受験には時間の制限があるので、リードが面白くてそれを読むのに時間がかかると問題が解けません。
    また、センター試験の8〜9割は、「正しいものを選ぶか、間違っているものを選ぶ」試験ですから、そのリード文の正誤ではなく、その文章が書いている時代などについて正誤を問うのです。おまけに、センター試験の問題は、一つの問題で時代も地域もあちこちに飛びます。ところが教科書はある地域や時代毎にまとまりをもって書かれていて、それを教えていくことがオーソドクスな歴史教育だ、とよく言われます。したがって、生徒はそうやって授業で教えてもらった知識をもう一度自分で「時代や地域をバラバラにしても解ける」ように整理し直す必要があります。教科書はセンター試験に出るようにバラバラには書いていないからです。言われてみれば何を当たり前の…と言われることですが、教科書に書いてあることが教科書のような順番と配列で出ない可能性が一番高い地理歴史科の教科は世界史です。いわゆる「通史」とよばれるものと、この「時代=前後関係や地域・場所が飛ぶ」ということを二つ同時に教えることは出来ないから難しいのですね。東大の入試問題がよく「宇宙船から俯瞰した世界史」と言われますが、宇宙から世界史を俯瞰することを高校生に求めるのはなかなか大変です。そして、世界史が難しかったと思うのは実は教員も同じです。彼ら教員が高校生の時にもやっぱり世界史は「面白いと思うけど訳わかんない教科」だったのです。だから世界史受験は世界史教師以外は積極的に勧めません。そして、それでも、やっぱり世界史は色々なことが分かるから面白い、のではないでしょうか。だから受験生には世界史を必修にしてほしいな、と思うのですが。大学の先生方、いかがでしょうか。
    • 吉嶺茂樹
    • 2011/02/04 9:50 AM
    最近、世界史関係の希望者が減ってきています。とくに私のゼミはまだ原典講読を課していますのでなおさらかもしれません。ただ、少数でもくる希望者はよく勉強します。このあたりは大事なことでしょう。文部科学省がいろいろ手を考えるたびにおかしな方向にきてしまいました。地歴と公民でそれぞれ共通試験にしてもよいのかもしれません。もし世界史必修とするなら、基礎的な用語は2000程度で、必ず日本あるいは東アジアとの関係を問う問題を入れてもいいでしょう。そもそも歴史の教科は選別にはあいません。普通にして8割取れればいい。大学の授業に支障がなければいいのです。シーザーやナポレオンを知らない学生に、ローマ帝国やフランス革命の歴史的意義を問いかけても白けるだけです。
    鶴島
    • 鶴島 博和
    • 2011/02/18 10:32 PM
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